踏切の幽霊

高野 和明/著

気がつけば前作ジェノサイドから11年。本屋さんへ行くたびに必ず新刊を探す大好きな作家の高野さん。久しぶりの高野作品に心躍らせて本を開いた。

主人公は、週刊誌の記者をしている松田。松田は、新聞記者としてバリバリ働いていたが、妻の死後には仕事第一だった自分に嫌気がさして週刊誌の記者に転職し、マイペースで仕事をするようになっていた。そんな松田のもとに、ある日任されたのはテレビ視聴者から寄せられた心霊写真を検証するという仕事だった。

はじめは気が進まない松田だったが、踏切で撮られた一枚の写真と出会い、生半可な気持ちで向き合うことができなくなった。この写真が撮られた背景を調べる過程で、写真に写りこんだ女性に興味を持つ。それは、亡き妻への思いとも重なって、松田は、しばらく忘れていた情熱をもって仕事にのめりこむのだった。

読んでいるうち、怪談としてではなく、ひとりの女性としての人生や家庭問題、社会問題へと思いを馳せずにはいられなくなる。

生きていく人間だけでなく、亡くなった命にまで深い思いやりを持ってペンを持つ作者の目線が伝わってくる、しみじみとした作品だった。

本とドラマと生活と

ただでさえ出不精な50代主婦。 コロナ禍の中、家での時間を楽しむための必須のアイテム、本とドラマに救われる日々。 そこで得た感想をつらつらと残していこうかな。

3コメント

  • 1000 / 1000

  • 2023.01.23 03:18

    おお、6時間後に君は死ぬ 映画にもなってますねぇ😳 短編集なのか(^^) これも要チェックですな🥰
  • みゆきち

    2023.01.23 03:12

    @はい、ぜひ読んでくださいね!高野さんは、13階段も面白かったですね~。私が一番好きなのは「6時間後に君は死ぬ」という作品です。過去・現在・・と時空を超えた、不思議に心の温まるお話の詰まった短編集です。中でも2つ目の「時の魔法使い」というのが大好きで、友達にもお勧めしてきました。疲れた時に読むとじんわり癒されると思います!
  • 2023.01.22 12:10

    ジェノサイドは私も読んでますよね、タイトルはめっちゃ頭に残ってます。映画化してなかったかな。してないか。この作者の作品なら間違いなく面白そう!!  13階段て映画も面白かったです。踏切の幽霊 このタイトルからは、感動とは結びつかないのだけど、レビュー読むとめちゃくちゃ想像膨らみました。これもいつか読もうリストに入れます!!