罪の境界
薬丸 岳/著
待ってました~!
待ちに待った薬丸さんの新刊。
これぞ薬丸さんだ・・・。
大事に大事に丁寧に読もうと思ったのに、いざ読み始めると、家事をしたり買い出しに出たり用事で出かけるのももどかしく思えた。とにかく読み進めていきたい!・・・と、夢中になって作品の中に入り込んでしまった。気がつけば、一気読みで読み終えてしまっていた。
少年法をはじめとして、これまで一貫として罪についての人間の心理を深く掘り下げてきた薬丸さんの最新作。
温かい家庭で愛に包まれて育ってきた主人公・明香里。何の不自由もなく生きてきたが、ある日、信じられないような事件の被害者となる。そして、家族や恋人との関係、明香里自身の人生観が大きく変化していく。
一方、幼い頃から母親に虐待されてきたフリーライターの溝口。彼は凶悪犯に共感する部分が多く、自分でも目的がわからないままに、犯人に近づいていく。
明香里と溝口という異質な二人の行動が同時進行で描かれていく。
やがて二人が出会うとき、その接点で生まれるものとは?
ひとつ前の記事で書いた「教誨」でも、ある人物が死の直前に語った『約束』の中身が大切なキーポイントとなっていたが、この物語でも同じく、明香里は、ある『約束』に隠された真実を求めて旅を重ねる。
読み終わったとき、冒頭シーンの明香里が別人のようになっていることに静かな感動が広がっていく。
2コメント
2023.01.22 11:57
2022.12.16 14:06