教誨

柚月裕子/著

読み始めてすぐに、(これは、あの事件だ!)と思った。

そう、16年前に世の中を震撼とさせた、実際に起きた事件を題材に描かれていた。当時、毎日のようにワイドショーを賑わせていた事件なので、容疑者の顔や発言、歩く姿までもが頭の片隅に残っていた。

ショッキングな事件が起きると、どうしても容疑者の性格や近所での評判が大々的に報道されるが、そのかげで容疑者の家族の苦悩が深く掘り下げられることはあまりないので、この作品を興味深く読むことができた。

ここでは、犯人がどんな環境で育ったのか、親の代まで遡って描かれている(もちろん、創作が多いとは思うが)。

ひとりの人格が形成されるまでには、親や家族、地域や同級生などいろんな要素が絡まっている。この作品では、そこが丹念に描かれているのだ。読んでいて胸に突き刺さるような出来事も、、、。

罪が生まれるには、人間と環境どちらも必要だ。犯人の人生のどこかで、運命を変えるような出会いがあればよかったのにと思わずにはいられなかった。


本とドラマと生活と

ただでさえ出不精な50代主婦。 コロナ禍の中、家での時間を楽しむための必須のアイテム、本とドラマに救われる日々。 そこで得た感想をつらつらと残していこうかな。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • みゆきち

    2022.12.16 10:39

    @そうそう、あの事件です。ホント、その時はショックを受けても、次々に新たなショッキングなことが起こっていつも最新のことがらに頭が支配されていきますよね。。。 私は、柚月裕子さんの他作品って、これ以上に面白いものが多いと思います。
  • 2022.12.14 14:25

    どの事件だろって気になって調べたらすぐに検索で出てきて、犯人の女性の写真見たら思い出しました。ネットの記事を読んでるだけでもなんかこう、やりきれないような気持ちになりますね。センセーショナルな事件なのに、記憶の中に埋もれてしまっていたのは、このあとまた、いくつもひどい事件が起こったからですね。いつも思うんですよね、子供には誰でもみんな、楽しい子供時代を過ごして欲しい、その権利があるはずなのに、って。こついう負の連鎖が無くなる世の中になって欲しいですね。ネットの記事では動機とか、深層がわからないままってなってたから、この本を読むと、少しそこに近づけるかもしれないですね。いつか読んでみようと思います😌